- 2014.12.04 Thursday
スティーブ・ジョブズ氏がAppleを追放されたことで生まれたもの達、そして変わった世界。今のAppleもWebもピクサーもディズニーも無かったかも。。
前回、ピクサーとジョブズ氏についての記事を書きましたが、
ピクサーとスティーブ・ジョブズ氏 〜「ピクサー流 創造する力」を読んで〜 | Creative Arts Showers's Blog
この記事で触れたピクサーがジョブズ氏に与えた良い影響は、Appleにおいては、デザイナーのジョナサン・アイブ氏との良好な関係という形で一つ効果を発揮したのではないかなと思います。
ジョブズ氏の夫人の話では、ジョブズ氏はアイブ氏のことだけは絶対に傷つけることは言わなかったそうですし。
そのアイブ氏自身は心配りの人として有名で、その精神がApple製品の魅力として伝わって高く評価されてることはいうまでもないことかと思います。
店頭に並ぶ展示製品に許可されてる限られた利用の範囲では、ソフトの優劣まではあまり良くわからないと思うんですが、展示されてるApple製品のデザインや存在感が優れて特異なものであることは多くの人が感じるのではないでしょうか。
製品に対する気配りという意味では、ジョブズ氏も最初から突出していたというのは有名ですけど、Appleの初代CEO マイケル・スコット氏からは「彼は製品のディテールには非常に注意を払ったが、人に対してはそうではなかったんだ。」と語られてたので、Apple追放後のピクサーでの経験がクリエイティブなアイブ氏との良好な関係になんらか寄与した面はあるのではないかと思います。
そして、もう一つ、iTunes Storeの誕生にも影響してたのではないでしょうか。
ハリウッドとシリコンバレーの間や、エンジニアとクリエイターの間にあったという大きな溝からすると、交渉相手の音楽レーベルやアーティストにとって、趣味で音楽も聴きます程度のIT会社のCEOと、世界的に影響力のあるクリエイティブなピクサー社のCEOとじゃ印象が全然違うでしょうから、交渉成立に有利に作用した面も少なからずあったのではと思います。
iTunes Storeが無ければ、iPodの大成功もなかったかもしれないですし、iPhoneの誕生もなかったかもしれません。
自伝本によると元々iPhoneの開発は将来の携帯電話の音楽機能向上の可能性により、iPodが不利な状況になることに対抗する意味もあったそうですから。
それにしても、改めて考えるてみると、ジョブズ氏が最後の20年で得たという素質を元々ある程度兼ねそなていて、Appleを追放されていなかったら、大企業となってたAppleの中で、追放された後程は自由に力を発揮しきれなかったでしょうし、そうなると、後に評価の高いAppleのOS Xの基盤となるNeXTでの独自のソフト開発もなかったことになります。
ジョブズ氏はNeXTでのこのソフト開発について、最も重要だと感じていたようです。インタビューの25分あたり)
また、ルーカスフィルムから売却が決定したものの買い手が見つからなかったピクサーはジョブズ氏に購入されることもなくCGアニメーション会社として成立すらしてなかった可能性が高いと思います。
他の企業による買収はあり得たようですが、それはCGアニメーション制作以外の目的だったことは明らかだったようです。ジョージ・ルーカス氏すら、実写映画へのCGの利用には積極的でも、アニメーションへの利用の方向性ではなかったようですし。。。
そして、ジョブズ氏でなければ、ピクサーの維持のために50億近くものポケットマネーを出すこともなかったそうです。
ピクサーのキャットムル氏も、あの当時の収支状況では、どんなベンチャーキャピタルもジョブズ氏程の資金を出すはずもなかったと本の中で語ってました。
ジョブズ氏の資金と交渉力がなければ、ピクサーがCGアニメで大成功をおさめ、やがて良い形でディズニーに買収されてディズニーに大きな影響を与えることもなく、最近大ヒットしたディズニーの「アナと雪の女王」も生まれてなかったかもしれません。
これらの仮定については、有名なスタンフォード大学の卒業式でのジョブズ氏のスピーチで、彼自身「Appleを追放されてからもっとも創造的な期間を過ごした」、と語ってました。
さらに1995年のインタビューでは、Webが変える未来を予言してましたし、
そのWebの開発に彼がCEOを務めたNeXTのコンピュータが大きな役割も果たしていたそうです。
小龍茶館 | ?スティーブ・ジョブズがWWWの発明に一役買った?知られざる物語
WWW(ワールドワイドウェブ)の発明者にとって、NeXTのコンピュータは、
"「もうパーソナルコンピューティングじゃなくて、
言うならば”インター・パーソナルコンピューティング”だった。
あれは本当にWebをデザインするのに完璧なモノだった!」"
そうです。
事実は小説より奇なりとは言いますが、それにしても物語のスケールがあまりに巨大ですね。
ジョブズ氏の追放によって影響を受けたのがピクサー、ディズニー、Appleという大企業で、さらに世界を繋ぐWebもですからね。
これら世界のトップ企業やインターネットの影響力を考えれば、改めて、ジョブズ氏は世界を変えた人と言っても過言ではないでしょうね。