量子論とは

 

最近、量子論に関する入門書的な本を読みました。  

 

歴史的な流れで言うと、「二〇世紀の初めに 、現代物理学の二本の柱である量子論と相対性理論が作り上げられた」そうです。

  

量子論というのは、現代物理学の二本柱の一つなんですね。。。知りませんでした。

  

相対性理論は名前はとても有名ですが、量子論がその相対性理論と並ぶ二本柱の一つでありながら、相対性理論ほど有名ではない理由は、その難解さにあるようです。

 

量子論はボ ーアなど多くの科学者が協力し 、また競争しながら作り上げた法則であるが 、これを理解することは相対性理論よりも難しいために 、敬遠されがちなのだろう 。量子論は 、確かに難しい 。   

しかし、量子論は、現代社会の至る所で活躍しているようで、「実用性という意味では、相対性理論より量子論のほうがはるかに勝っている」と言われているようです。  

 

(携帯やパソコンの)半導体チップの中を支配している物理法則が「量子論」である。実際、半導体は量子論の結晶だとしばしば言われる

 

個人的には、常日頃、スマートフォンやパソコンを使いながら、あんな小さなチップ(CPU)で、どうしてこんな処理ができるのだろう、、と思っていたんですが、それも量子論が関係していたんですね。実は、この本を読んでみようと思ったきっかけが、「半導体チップの中を支配している物理法則が量子論」という記述をAmazonの紹介ページの中で見つけたからだったりします。。。

  

量子論は、ミクロの世界専門の理論だそうなんですね。 

 

多くの人が、科学というと人間の目にも見えてわかりやすいマクロの方の理論を思い浮かべるのではないかと思いますが、人間の目に見えない超ミクロの世界を扱う理論が量子論ということだそうです。  

 

地球が太陽の周囲を回る公転運動や、ロケット・飛行機・自動車などのマクロの物体の運動は、ニュートンが作った古典力学で計算し、結果の予言ができる。しかし分子や原子、素粒子のような小さな世界では、ニュートンの古典力学は使えないのである。これに対して量子論は、素粒子などのミクロの世界に適用される物理学の理論である。したがって、半導体の中で役立っているだけでなく、遺伝子やDNAの構造を決めているのも量子論だし、原子炉の中でエネルギーを発生させている核分裂反応や、太陽の中でエネルギーを生み出している核融合反応も量子論に従って起こっているのである  

この量子論が扱うミクロの世界というのが、どのくらいミクロかというと、だいたい一ミリメートルの一〇〇〇万分の一より小さな世界だそうです、、、。 肉眼で見えるわけないですね。。。

 

しかも、量子論は難解なため  量子論をもっともよく理解している物理学者の一人であるファインマンでさえ、「量子論を利用できる奴はたくさんいても、量子論を本当に理解している人は一人もいやしないさ」と 言っていたそうです。。。。  

そんな量子論の、不思議な話について、かいつまんで書いていきたいと思います。  

 

量子論の特殊さ

 

 

量子論によると、超ミクロの世界は例えば以下のように説明されるようです。 

 

  • 観測していないときの電子は「こっちにもいるがあっちにもいる」
  • 物質は常にあいまいな位置と速度を持つ
  • 未来は厳密なルールによってただ一つに決まっているわけではなく、サイコロを振って決まるような確率的なもの  

 

アインシュタインは、「神はサイコロを振らない」と言って、この理論に反対したようですが、「今までに、量子論を否定するような現象や実験結果は何一つ見つかっていない」そうです。

 

ニュートン以来、物質世界に対する物理学者の認識は「最初の条件さえ決まれば、以後の物質の状態や運動はすべて確定されるのだ」というものでした。

しかし、(量子論の)不確定性原理が示すように物質があいまいな位置や運動量を持つとしたら「最初の条件」がもはや一つに決まりません。「A点からB点の間のどこかにいて、秒速三メートルから五メートルの間の何らかの速度で動いている」といったことしか言えないのです。そしてその将来も複数の可能性があって、どれが実現されるのかは確率的に、偶然により決まると量子論は主張します。

どうして、量子論において、こういう説明がなされるに至ったかについては、もちろん歴史的な研究成果の流れがあるわけですが、「粒子でもあり、波でもある」という全く別の性質を持つ物質の認識が重要になるようです。  

 

「波か粒か」

 

photo credit: blavandmaster Smooth via photopin (license)

 

そもそも量子論というのは、19世紀の産業界の要請により溶鉱炉の物質の温度と光の色の関係を探る中から誕生したそうですが、量子論を生んだ光について、「粒か波か」という議論が何世紀にもわたって繰り広げられてきたそうです。

  

そして、19世紀にダブルスリットの実験による「光の干渉」という現象の発見によって、光は波であることが確認されました。(波の干渉とは、二つの波の山と山同士または谷と谷同士が重なると、波の振幅が重なり合って山の高さや谷の深さが増し、逆に二つの波の山と谷が重なると、波の振幅がお互いに打ち消し合って、波が消えてしまう現象のこと)  

 

 

その後、電磁波の存在が証明されると、光は電磁波の一種として波であると認識されるようになったそうです。(可視光は、波長が約三八〇ナノメートルから約七七〇ナノメートルまでの電磁波で、この波長の電磁波だけが、人間の目に見える。)  

 

しかし、後に光電効果(紫外線や青い光などの 、波長の短い電磁波を金属の表面に当てると 、金属表面から電子が飛び出してくるという現象)という現象が発見されると、波としての性質では説明がつかなくなったそうです。  

 

そこに、当時26歳だったアインシュタインが、量子論にアイデアを借りた光量子仮説という理論を発表し、それまで波であると考えられてきた光を「光量子」(現在では光子と呼ばれています)という粒の集まりだと考え直すことで、光電効果のしくみを解き明かすことに成功し、ノーベル物理学賞を受賞したそうです。(因みに、この理論の3ヶ月後に、同じくアインシュタインの有名な相対性理論が発表されたそうです。) 

 

 

こうして、(かなり端折って書いてますけど)光は、「波でもあり粒でもある」という不思議な二重性を示すことが分かったそうです。  

 

電子は波か粒か

  

photo credit: ZEISS Microscopy Nanoworlds via photopin (license)

 

その後の研究により、19世紀に、原子(約1ミリの1000万分の1)の存在が提唱され(当時の顕微鏡では見えない)、さらに電子(原子の2000分の1)の存在が提唱され、原子核の存在が提唱され、さらに内部構造についての議論が進んだそうです。これは、完全に量子論っぽい世界ですよね。 

 

この段階で、ボーアさんとかシューレーディンガーさんという量子論の世界では有名な学者が、超ミクロの世界についての疑問に対する仮説なんかを色々出されるんですが、難しいので理論だけ書いておきます。

 

私たちが 「ある場所 」に電子を発見するかどうかは 、その場所における波の振幅つまり波動関数 ψの値によって左右されることになります 。 ψの絶対値が大きい場所ほど 、そこに電子を見つける可能性が高いのです 。  

このような波動関数の確率解釈を取り入れて、ボーアや彼の下で量子論の研究をしていた若い物理学者たちは「我々が電子を観測すると、電子の波は収縮をするのだ」という、これまた不思議な考えを提唱しました。しかしこの考え方は多くの物理学者に受け入れられて、量子論の主流の見方となっていきました(中略)ボーアたちは「我々が見ていないときだけ、電子は波のように広がっている」と考えました。(中略)ただしこれは「電子はA点とB点の両方に同時にいる」ということではありません。また「電子はA点かB点のどちらか一方にいるのだが、どちらにいるかはわからない、または確率的にしか言えない」のとも違います。「一個の電子がA点にいる」状態と「同じ一個の電子がB点にいる」状態が、同一の電子の中で重なり合って(共存して)いるのです。

 

そして、電子に関しては驚くべき性質が発見されました。光が波であると確認された実験と同じような実験で電子銃を放つと、波の性質を示す干渉縞が出来たのです。しかも、電子を一発ずつ打っても。 

 

私たちが電子を見る前には、電子はさまざまな位置にいる状態の「重ね合わせ」になっていることを3章で説明しました。それと同じように、ダブルスリットを通過した後の電子は「左側のスリットを通過した状態」と「右側のスリットを通過した状態」が重ね合わせになっているのです。二つの波の重ね合わせが波の干渉を生むように、一個の電子の中で二つの状態が重ね合わさることで、電子の状態にも「干渉」が生まれているわけです。 

 

しかも、実際に両方のスリットを通過したことを観測することはできないと言われています。  

電子がスリットのどこを通るのかを私たちが「見よう」として光子を当てた瞬間に、電子の波が収縮してしまうので、私たちはどこか一点にいる電子しか観測できないのです。したがって波の性質を失った電子は一方のスリットだけを通り、スクリーンに干渉縞を描くこともないわけです。  

 

そして本来の目的である「電子は本当に両方のスリットを通ったのか」という問いに対しては、実験では確かめられないとしか言えません。私たちができるのは、スクリーンに映った干渉縞を見て、電子は私たちが見ていないときにはちゃんと両方のスリットを通っているのだろうなと想像することだけなのです

 

私たちがふだん目にするマクロの世界の物質に光を当てても、物質の質量が十分に大きいので、その位置が変わってしまうようなことはありません。しかしミクロの世界の小さな物質の場合には、たとえばその物質が「どこにいるのか」を観測しようとして光を当てると、当てた光のエネルギーによってミクロの物質が動いてしまうために、もともといた位置がわからなくなったり、物質の運動方向が変わってしまうといったことが起こります。つまりミクロの世界を「見る」場合には、その対象物を「見る前の状態のまま」で見ることはできないのです

まとめ的な感想

  

 

この本は、歴史的な順番に並んで、科学が挑んできたこの世の謎とその解決策の仮説や実証について分かりやすく書かれています。

量子論を「楽しむ」本ですから、割と興味深く楽しんで読むことはできました。

 

改めて、この世での現象が先にあって、それを説明するための理論とか仮説があって、更にその理論からの推論があって、それが後に実証されて、、、、みたいな繰り返しの話が科学の歴史なんだなぁと思いました。(最近アインシュタインが推論した重力波も観測されましたね。)

 

今まで書いてきたことは、量子論のほんの一部の基本的な話で、この本には他にも色々冒頭に「量子論は難しい」と言われてるのがちょっとは分かるような、理解が難しそうなことや、SF映画の題材の素になりそうな理論が書かれています。

 

「シュレーディンガーの猫」とか「パラレルワールド」とか「量子コンピュータ」とか「真空はゼロではない」とか、その他色々興味のある方は読んでみてください。理解しきれるかは別として、楽しめる人は楽しめると思います。

 

科学者であるアインシュタインも、量子論の一部については認めつつ、全ては認めなかったそうです。。

 

しかし、今のところ「量子論を否定できるような現象や実験結果は何一つ見つかってない」そうですから、何が真実かは分かりませんが、少なくとも、冒頭に引用したように、既に世の中に量子論を利用したものは沢山あるわけですし、今後の宇宙の解明にも量子論は重要な役割を果たすそうで、今世紀の科学の飛躍は凄いことになると言われているようです。  

全ての銀河が地球から遠ざかっているという宇宙膨張の証拠が観測されたり、かつて宇宙が熱かった頃の名残の電波が発見されることで、ビッグバン理論はほとんどの科学者に信じられるようになりました。この結果、初期の宇宙つまり非常に小さかった頃の宇宙のようすを考えるためには、ミクロの世界の基本原理である量子論を用いる必要があることがわかってきたのです。

繰り返しになりますが、量子論が示す物質観・自然観は何とも奇妙で不可解です。しかし私たちに理解できなくても、私たちの常識と食い違っていても、そこに真理はあるのです。科学によって、私たちは人間の五感だけではつかめない自然の真の姿に触れることができるようになりました。そして自然はまだまだその神秘性を多く隠しているのかもしれません。それを人間が知ることができるのかできないのか、できるならいつになるのか、明日なのか、はるかな未来なのか、まったくわかりません。  ただ、おそらく確実なことがあります。それは、量子論と相対性理論を得た二〇世紀に続いて、いえそれ以上に、二一世紀が「驚異の世紀」となるであろうことです。

 

 

 

 

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